娘が小さい頃から、
親子でとてもお世話になった方が亡くなりました。
我が家の娘は、中学時代に完全な不登校になりました。
初めの頃は、家族と目を合わせることもできず、
家でじっと過ごす日々が続きました。
今振り返ると、
人と会うことを恐れていたのだと思います。
そんなある日、
そのお世話になった方は、
娘に会いたいとか話したいと言うこともなく、
ただ「良かったら」と数冊の本を届けてくれました。
本には、手紙が添えられていました。
「自分はまだ読んでいないので、感想を教えてね」
—そんな一言だけでした。
結局、娘はその本を読むことはありませんでした。
(当時、文字を読むことすらできない状態でした)
ですが、「本」があること、
そしてそれを届けてくれたことが、
娘の心を支えたのではなく、
むしろ私、親の心を大きく支えてくれました
誰かがそっと気にかけてくれている。
決して無理を強いることのない、優しい優しい優しさ。
あの時のことを思うと、お礼を言うと涙が込み上げてしまい、それを理由に、
心から向き合い、感謝を伝えることができていませんでした。
もちろん、お礼は伝えました。
ですが、どれほど心が救われたのか、その感謝の深さを伝えきれなかったと感じています。
「明日も生きている。いつかまた会える」
そんな風に思いがちですが、お礼を伝えたいと思ったら、
今日、伝えなければならないのだと改めて感じました。
お世話になった方の葬儀には多くの方が参列していました。
改めて、本当に素晴らしい人に出会えたのだと、
参列した方達と思い出を語りながら思いました。
私は、誰かの役に立てるほどの志や行動力はありません。
しかし、感謝の気持ちや心を伝えることならできるかな・・・
その一歩から、また前に進みたいと思います。
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